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銭湯×桶×アート「ケロリンミュージアム」

子供の頃、我が家には内風呂がなかったので、お風呂と言えば近所の銭湯だった。当時の子供料金で100円台前半だったので、それで広い湯船に浸かれるのは気持ちが良かったし、友達同士でもよく銭湯にいった。

大人になっても銭湯好きは変わらず、今でもわざわざ銭湯にいく。2018年現在、大人の入浴料金は460円だが、それでもお得だと思っている。

しかし、東京都内の銭湯の数は、減少の一途を辿っている。2017年末現在、東京23区の公衆浴場の数は「508」。2005年には「931」だったので、ほぼ半減したことになる。

そんな銭湯だが、最近ではDJイベント、コンテンポラリーダンスなど、銭湯を会場にしたイベントも多く開かれている。銭湯の価値が変わりつつある中、2018年10月27日と28日に東京・足立区千住元町の「タカラ湯」では、ケロリンミュージアムなるイベントが行われた。

ケロリンミュージアム 外観

銭湯に通っている人で、「ケロリン」の名前は知らない人はいないだろう。黄色い風呂桶に書かれた薬の名称だ。今回、このケロリン桶を使ったアート作品などが展示された。

タカラ湯に入って、まず飛び込んできたのは、巨大アート作品。

ケロリン ピラミッド圧倒されて引きの写真撮り忘れました…

ピラミッドで使われた桶の数は816個!銭湯入口の、のぼりに写っていたピラミッドは桶が2024個使われているが、今回は天井の高さを考慮して、この数になったという。それでもスゴい。洗い場もアートだらけ。

それぞれ300個ほどの桶を使ったツインタワー。そして、桶を使った作品だけなく、あらゆるところにアートが。

芸術が爆発してます

沿岸部のタワーマンションみたい…

ケロリン シュレッダー今回の一番のお気に入り作品。トレンド捉えすぎ

シャワールームに黄色いパンツ

ケロリンのフォントって独特ですよね…

庭にケロリンの長城…?

ケロリン桶には「関東桶」と「関西桶」があり、サイズが違います

最初に作られた、今では「幻」のケロリン桶。当時は白色

作品名「シュールケロリズム」

ちょっとこれよくわかんなかったです…

ケロリンのポスター、イラスト素敵

今回のケロリンミュージアムは東京・足立区で開かれたが、このプロジェクトは「富山×銭湯プロジェクト」の一環と開かれた。

元々ケロリンは、富山県の内外薬品(現・富山めぐみ製薬)が製造・販売する解熱鎮痛剤。ミュージアムは、富山県の新聞社などが地域PRの一環として企画した。

富山県は人口当たりの銭湯数や入浴時間の長さが全国トップクラス。そんな富山県を全国にPRするべく、「ケロリン桶」に着目、「ケロリン桶」をモチーフにしたアート作品を展示する『ケロリンミュージアム』を開催したという。

ケロリン桶が出来たのは、前回東京オリンピックの前の年、1963年(昭和38年)だった。次の東京オリンピックの前々年に、こうしたミュージアムが開かれるとは、当時の社員は考えても見なかっただろう。

ケロリン桶は別名「永久桶」とも呼ばれている。銭湯で子供が蹴飛ばしても、腰掛けにされてもビクともしない驚異的な強さから付いた別名だが、銭湯がある限り、ケロリン桶は「永久」に継がれていくだろう。